SS付
その生物は人間の女性の精気を糧としていた。それが何故なのかはその生物にもよく分からなかった。
ただ、自分が生きるため、成長するためにはそれが必須であるということだけが確かなことだった。
精気を吸収するために最も適した方法が対象を性的に責めるということも。
紗夢は運悪く、その対象となったのである。
紗夢は自分が不思議な空間に立っているということに気がついた。いつここに来たのか思い出せず、何処にいるのかもはっきりしない。
夢とも現ともつかない空間。それほど広くはないということだけが分かる。一つの部屋のようである。
邪魔の入らないように独自の結界空間の中に対象を引きずり込み、ゆっくりと時間をかけて精気を吸い取る。これがその生物の常套手段だったが、紗夢はそれを知る由もない。
不意に、足元に何かが絡みついた。ぬるっとした軟体感。悪寒が背筋を走りぬける。
「!!?」
言葉にならない悲鳴を上げて、紗夢は足をバタつかせてそれを振りほどいた。
弾き飛ばしたソレを視界の片隅に捉える。
(蛸の…脚?)
紗夢の知識の中では蛸の脚が最も当てはまる回答のように思えた。ただし、色がピンクであるということを除けば。
(一体何アルか…)
一瞬考えを巡らした瞬間、先程とは反対の足首にまたソレが絡みついた。
「ひっ」
また脚をバタつかせて振りほどく。だが先程とは違い簡単には離れてくれない。どうやら蛸の脚とは別物のようだ。触手というのが適当だろうか。
表面のヌラヌラしたテカリが紗夢に再度悪寒を呼び起こさせる。
紗夢は必死になって触手を振りほどいた。吹っ飛ばされた触手は音も立てずに引っ込んでゆく。
触手の引っ込んでいくのに合わせて視点を移動させると、その近くにもう一本の触手があるのが見えた。
思わず身震いをする。アレに捕まったら何かマズイと直感した紗夢はそこから逃げようとした。
紗夢はゆっくりと後ずさりした。次の瞬間、背後から奇妙な音が聞こえてくることに気がついた。
ズルッ…ニュルッ…。
(ま、まさか…)
恐ろしい予感と共に振り返ると、目の前に無数の触手が迫っていた。
想像していた最悪の場面が現実となり、紗夢の思考が一瞬停止する。
それを見逃さず、紗夢の両足に触手が絡みつく。
「や、やだっ」
何とかして、触手を振りほどこうとするが、両足が捕らわれてしまっていて思うように脚が動かせない。
混乱しながらも屈み、触手を手で引き剥がそうとしたが、その両腕にも触手が巻きつき自由を奪われてしまう。
「いっ、イヤぁぁぁっ!」
身体をくねらせて抵抗するが、軟体の触手は身体にぴったりと密着して、離れない。
触手は徐々に絡みつく本数を増やしていき、遂には触手によって宙吊り状態にされてしまった。
先程足首を捕えていた触手が太ももに巻きついた。別な触手が服の中にも潜り込み、弄るように全身を撫で回す。ぬるっとした触手表面、生暖かい粘液は肌に独特の感覚を生み出した。
「ちょ…や…だめぇ!」
快感と不快感の絶妙な狭間で紗夢は叫んだ。不快感だけならまだしも、快感が混ざっていることが恐ろしかった。それを感じとることができるのか、触手が紗夢の性感帯を重点的に責め始めた。
触手が左右から乳房に巻き付き、絶妙なタッチで弄った。服の上からでも柔肌に刷り込まれる生暖かい粘液が紗夢の劣情をかき立てゆく。自分の意思とは関係なく張り出した乳首が乳房に巻きついた触手によって更に強調され、そこへ人間の口を思わせる器官が先端に付いた触手がかぶりつく。
乳首の周りに若干の痛みを覚え、紗夢が身を硬くする。歯を立てられているような感触だ。
同時に、何かが乳房の先から自分の身体に入ってくるのが分かった。口型の器官が先端から紗夢の身体に何かを注入しているらしかった。
「ひぁっ」
触手を振りほどこうとしたがしっかりと乳房に吸い付いていて、どんなに身体を揺らそうとも離れはしなかった。そのうち、注入を終えたらしく、口が舌を動かし始めた。ブチュブチュジュルジュルと必要以上に生々しい音を立て、紗夢の柔肌を舐め回し、更に粘液を刷り込んでゆく。感度の良くなった乳首をこれでもかと舌で転がされる度に、汚濁感と快感が脳天を突き抜けた。
「んああっ! やめてぇぇ!!」
さらに、乳首と乳房を責められ、紗夢は快感とは別に乳房に張りを感じ始めた。それは乳首を舐め転がされる度に強くなっていく。先程身体に注入されたものの影響だとは気が付き必死に堪えようとするが、乳房に込み上げてくる感覚を味わったことのない紗夢に、それは不可能だった。知ってか知らずか、触手は紗夢の乳房をゆっくりと締め付けた。さらに、触手が乳首を吸い始めると、乳房の中を何かがこみ上げる感覚は限界を迎えた。堪えていたものが一気に破裂する。
「あひぃっ もうだめぇぇぇ!」
紗夢は叫びと共に体を反り返らせた。熱い感覚を伴なって乳首の先端から大量の母乳が吹き出す。それを待っていたかのように触手が吹き出したそれを舐め取った。その上、もっと出せと言わんばかりに触手が乳房を搾り、口が激しく乳首を舐め回し吸い上げた。チュウチュウという吸い取り音が大きく響く。その度に、乳首からは強烈な快感を伴なって熱く濃厚な白蜜が吹き出した。
「きゃうっ 吸っちゃ駄目アルぅぅ!!」
そんな叫びを余所に、触手は紗夢の甘い母乳を貪る。
同時に、数本の触手が紗夢の下着に潜り込み、秘部にも刺激を加えていた。細い先端でしつこく最も敏感な部分を捏ねくりまわし、他の触手が紗夢の膣内でうねうねと動き回る。苦しみと紙一重の快感の嵐が紗夢の脳天を襲う。
「はぁんっ! あっ…ふひゃぁっ!」
どうしようもない程の快感に言葉にもならない叫びを発してしまう。
ヌチョッヌチョッと卑猥な音を立て、秘部から蜜があふれ出す。触手は徐々に、紗夢の感覚に合わせて膣内でもより敏感な部分へと刺激場所を移していった。それに伴なって蜜の量も飛躍的に増加する。そしてその体液も触手が一滴残らず舐め取っていった。
「あひぅっ! やぁぁあああ!!」
理性では拒否感が優先していても、快感に絶え間なく襲われる紗夢の身体は否応無しに絶頂へと向かっていった。何度も脳天を突き抜ける快感に耐えかねて、脚をバタつかせ、腕を振り回して脱出を試みた。力を入れれば手足はある程度自由に動くのだが、触手はゴムのような伸縮性を発揮し、結局は定位置に手足を元に戻してしまう。どんなに暴れても全く脱出できない上に、体力を消耗してしまうという全く動かないよりも厄介な拘束状態だった。
快感と疲労によって紗夢は抵抗する力を失いつつあった。そこを見逃さず、触手は全身の性感帯を一気に責めた。全身の触手が蠢き、紗夢の身体を柔らかく締め上げる。触手の動きがより激しくなり、快感を紗夢に叩きつけた。
「ふぁあああぁああ!!」
快感に呼応するかのように乳首からは母乳が吹き出し、秘部から蜜が溢れた。
これによって紗夢のわずかに残っていた理性も汚濁感も一気に崩されてしまった。頭を占めるのは脳天を突き抜ける快感だけである。
徐々に登りつめていた快感が一気に爆発した。身体がビクビクッと振るえ、大きく仰け反る。その瞬間、今まで出ていた以上の勢いで母乳と蜜が紗夢の体から溢れ出した。
「あっひっあぁぁぁっ!」
全身を触手に責め嬲られ、紗夢は快楽に溺れていった…。
終
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