借金返済〜狂乱〜

紗夢はベッドに寝ていた。
海鼠に責められるだけ責められたその後、気が付くとまたしても海鼠は綺麗さっぱりといなくなっていた。朦朧とする意識の中、極度に体力を消耗した火照る身体を抱えて備え付けてあったベッドに倒れ込んだ。

服の状態などは元の状態になっているようである。ただ一点、服の中にレオタードのようなモノを着せられている以外は。
普段ならば気が付いただろうが、現在の紗夢には今の状況を判断する余裕も抵抗する力も残っていなかった。

気が付くといつの間に部屋に入って来たのか、仕事の依頼主と名乗っていた男が近くにいた。
「や、ご機嫌は如何ですかな?」
「…い、いいわけないネ! アナタこんなことしてタダで済むと思ってるカ!?」
「ほう。ではどうなさるおつもりで?」
男の方は余裕綽々だ。やれるものならやってみろと言わんばかりに。
紗夢としては少なくとも一発はこいつは殴ってやらないと気が済まない。すぐに身体を起こそうとしたが、いつの間にか手足が錠と鎖で固定されていた。これでは身動きが取れない。
「うっ」
「まぁ落ち着いてください。そろそろメインイベントにしますから」
男の顔が卑下た笑いに包まれる。
「な、何を…?」
紗夢の問いかけには男は答えなかった。
代わりに合図を出す。すると紗夢の身体に現れた。正確には着せられていたレオタードに。生地の内側の感触が布のそれからにゅるにゅるとしたものに変化した。
「はぁぁぁっ」
思わず声が上がる。レオタードが伸縮し、ぬめぬめした生地を紗夢の身体に擦り付けた。全身を愛撫されるかのようなその感触に、火照り切ったまま放置されていた身体は恐ろしいほどの感度で反応を示してしまう。
「ひぅ! や、やめ…てぇ!」
「その様子だと存分に楽しんだようですねぇ」
「だ、誰が…ふぁっ!」
「そんなに感じていては、説得力がないですよ?」
薄暗い笑いを貼り付け、男があやす様に言う。
紗夢が言葉を発する度、身体を動かす度に身に着けたレオタードからは容赦なく刺激が跳ね返ってくる。
手足が固定されているため、腰を動かしなんとか刺激から逃れようとするが、身体に密着しているレオタードには大した効果は得られなかった。その姿は傍から見ていると非常に艶めかしい。
レオタードの布地はもはや布とは呼べない、生物的な物へと変化していた。
それらは粘液を染み出させながら紗夢の身体をゆっくりと締め付け、愛撫した。
乳房、乳首、陰唇、陰核、愛撫されている全ての火照った性感帯から頭の先へ駆け登る鈍い快感が、達したいという本能的な欲求が、紗夢の理性を粉々にする。
「延々責められっ放しでしょうから…そろそろイきたいのでしょう?」
「はぁ…はぁ…そんなわけ…な…い…アル」
口を開きっ放しにしていた所為か紗夢の口から唾液が垂れた。喘ぎ声にかき消されそうな声で、最後の理性をかき集めて抵抗する。
「ふむ…中々強情ですね…。さすがと言えばさすがですが…。一言言ってくれれば楽になるのですがね。」
「誰…が…!」
身体は限界だったが、紗夢は強気に言い放つ。
「仕方ないですね。まだ責めが足りないようですね。もうしばらく触手漬けになってもらいますか…。」
「!?」
紗夢の頭の中にこれまでの触手責めの記憶が一気にフィードバックされた。今でももう限界だというのにこれ以上責められたらどうなるのか。想像もしたくなかった。そしてもう、湧き上がる欲求を抑え切れそうになかった。
「ではまた後でお会いしましょう。それまで御機嫌よう」
「…ま…待つアル」
部屋を出て行こうとしていた男を呼び止め、か細い声で言う。
「…かせて欲しいアル」
くるりと向き直った男がニヤニヤしながら問いかけてくる。
「はて? よく聞こえませんが?」
紗夢の中で何かが切れた。
「お願いネ…! イかせて欲しいアル!!」
「そうですか。では望み通り…」
満足気に男が手を鳴らすと、レオタード状のモノは溶けるようにしてなくなってしまった。
同時に手足を固定していた拘束も解かれる。
「あっ」
しかし紗夢が行動を起こす前に触手が両腕を取り、無理やりに磔の状態を作り出す。
「一応、今回の仕事の主旨をここでお伝えしておきますか」
「これ…のどこが…仕事…アル…カ?」
「「こういった」お仕事もあるわけですよ」
面倒そうに男は続ける。
「ここへ来てからの貴女の痴態は全て周りから見られていたんです。もちろん今もね。これを見るためには、結構な料金がかかるわけですが…ま、易々と払う人間は幾らでもいるものでしてね。もちろん映像としても保存してありますから、後で編集して記憶媒体を複製、売却するとまたその料金が手に入るというカラクリです」
「とはいえ、中々触手と絡みたがる人間はいないものでしてね…。今回は高名な蔵土縁さんのショーとあって、我々も儲けさせてもらってますよ。いつも勝気な貴女を目茶苦茶にしてみたいと思っている輩は結構多いわけです」
男はくくくっと喉の奥で笑った。
「では仕上げに入りましょう。きちんとイってもらわないと話が完結しないので」
「ま、待つアル…そん…な・・・!」
その言葉が合図だった。どこから現れたのか、軟体の生物が紗夢の身体の周りを覆い、身体をまさぐり始める。
本体と思われるモノから何本もの触手が伸びる。それらの先端には口のような器官が見て取れた。丁寧に舌らしき部位もあるようだ。それらが一斉に紗夢の性感帯に取り付いた。
そして今回は、弄るような刺激の仕方ではなかった。
「くふぁ…ひぁぁぁ!!」
両乳首にはバキュームのような触手が吸い付き、乳首を捏ね回しながら吸い上げた。他にも耳や腋、太もも、首筋やアナルなど、様々な場所を同時に這い回り、先端の器官にある舌で嘗め回す。全身からぬちゅぬちゅと触手が肌の上を這い回る音が響き始めた。
「ひゃ…ああああ!!」
これまでとは違い、今回は容赦なく膣へも侵入してきた。挿入された触手の先端からは舌が覗き、中を嘗め回す。通常では絶対に味わうことが出来ない刺激が一気に脳天まで突き抜ける。蓄積され、ぎりぎりまで抑圧された欲望が一気に満たされるその開放感と快感は、容赦なく紗夢の意識を飛ばした。
「ああそうそう、貴女の借金はもうなくなりましたよ。おめでとうございます」
薄れ行く意識の中で紗夢はそんな声を聞いた気がした。

次に目が覚めたときには、待ち構えていたように先程とは別の種類の触手が自分を取り囲んでおり、身体を弄んだ。
少しは抵抗を試みたりもするが結局、理不尽な程強烈な快感によって屈服し、最後にはまた意識を飛ばされてしまう。
そして目が覚めるとそこにはまたしてもまだ見ぬ異形の生物が…。

今も全部見られている?映像が流出?もう引き返せない気持ちいい

紗夢の中で何かが砕けた

「はぁん…もっとぉ…いひ…ああああっ!」
何度も繰り返されるその夢ともうつつとも区別のつかない快楽地獄は紗夢から理性を完全に奪ってしまった。
紗夢の頭にはもはや触手から与えられる快感しかなく、完全に快楽の虜となっていた。
そこには、目から光が消えうせ、涎、母乳、愛液を滴らせながら腰を振る雌の姿があるのみである。